……いや。
だって。
よく考えたら、あたしが教える意味、あるのかな……って。
彼女に勉強教えてもらえばいいじゃん。
「ごめん……」
いつもなら強気で言い返せるものも、そんな気力もない。
べつに、渉に彼女がいることくらい、想定内なのに。
てか、そもそも渉に彼女がいたって関係ないのに。
モヤモヤする胸中に、自分自身がどうなってるのかわかんない。
「ここ!ここがわかんねーんだよ!」
もう一度シャーペンを手に取った渉は、教科書に丸をつけながら、グッと体を寄せてきた。
「……っ」
腕と腕が、シャツ越しに触れる。



