ま、いっか。
なんでだろう。
今までだったらあり得ないことも、渉だったら、アリな気がしてくるのは。
それにしても、くすぐったいな。
よく見ると、渉の髪の毛の一部分が、直に太ももに触れていた。
膝枕……なんて。
これもかなりハードル高いオプションだよ。
カレカノでもないのに……。
でも、不思議とイヤじゃない。
「わ……たる……」
その寝顔を見ながら、心の中でだけ使っている呼び名を口に出してみると。
さっきよりも、もっと胸がドキドキしてきた。
それでも不思議と心地よいこの感情と、渉の寝顔を前に、あたしはふふふっと微笑んだ。