顔をあげると、すぐそばに渉がいて。 あたしを優しく見下ろしていた。 ほんと……に……? 「乃愛は乃愛だろうが」 「……」 あたしは、あたし。 わかってくれる人が、ここにいた。 お兄ちゃんを恐れて、右に倣えの人ばかりの中で。 渉だけが、わかってくれた。 それがすごく嬉しくて、胸がじんわりとあたたかくなっていく。 「それに……」 ……それに……? 渉の顔がグッと近づく。