渉といて楽しいとか思っちゃった自分がバカみたい。
軽い男、だなんてのは、初めて会ったあの夜から分かってたことなのに。
地面にしゃがんで、食べかけのサンドウイッチ、渉の食べたお弁当を手早くまとめて紙袋へ放り込んでいると。
「俺はやめねえから」
「……え?」
背後に掛けられた言葉に、思わず手がとまる。
「乃愛の兄貴がどんなに気ちがいだったとしても。
俺は、乃愛に話しかけるのもちょっかい出すのもやめねえから」
振り返って渉を見上げると、あたしに注がれてる流し目。
それは、イタズラな瞳なんかじゃなくて。



