あたしは軽く息が切れてるっていうのに、隣に並んだ渉は今日も余裕そうで。


それがまた、なんかムカつく。



そんな渉をキッと見据える。



「あんなところで、お弁当出そうとしないでよ。あたしが作ってきたってばれちゃうでしょ」


持ってきたのだってギリギリだったのに、もう。


あのランチマットを見たら、小春と日南子にはあたしのだって一発でわかっちゃう。



とにかく、無事にここまで逃げて来られたことを幸いだと思いながら、


「はい」


渉の胸元に、お弁当の入った紙袋を突きつけた。


「乃愛、まじで自分の弁当ねえの?」


受け取らずに、紙袋に目を落とす渉。