「ちょい待てよ。どこかってどこだよ」
グイッと腕を掴まれた。
……はぁ……。
「中庭でも屋上でも、色々あるじゃん」
そのくらい、自分で考えてほしいよ。
「つめてーなあ。この少女趣味な弁当箱を、一人で開ける勇気なんて無いぞ」
そこ、勇気必要?
あたしと喋ることの方が、黒凪高校的にはすごい勇気いることだ思うんですけど……。
だから今更、渉がピンク色のお弁当箱を持っていたところで、誰も何も突っ込まない自信はある。
「乃愛ッ!お昼しよっ!」
そこへ、小春が駆け寄ってきた。
いつもなら、すぐに机をくっつけるのに、あたしがなかなか行かないから来てくれたみたい。
「これ、頼まれてたやつね」
はいっと、ビニールの袋を渡してくる。
「ありがとうっ!!」