「……」


圭太に見られないように、むくれ顔を渉に向けると。


「…ってことで、大人しく俺に連れて行かれろよ」


渉がいきなりあたしを抱きかかえ、ふわりと宙くあたしの体。



えっ、ひゃあっ……。


なにこれ、お姫様抱っこ……!?



「あ、あたし自分で歩けっ……」


「黙って抱かれてろよ」


「……っ…」


瞳を見降ろされて、ますます熱が上がっていく気がする。




「どけよ」


その勢いに圧倒されたのか、圭太の足が一歩後退する。