高校へ入学して5日目の朝。 自宅のリビングで、のんびりと朝ごはんを食べていたときのことだった。 「乃愛(ノア)、学校は楽しいか?」 ……なんて、のんきな言葉が向かいの席から掛けられて。 あたしはモグモグと動かしていた口を止め……ゆっくり顔を上げた。 目の前に座っているのは、あたしのお兄ちゃん、一之瀬嵐士(イチノセアラシ) 銀色のウルフヘアーにブルーのカラコン。 陽の光に柔らかく透けて、いつもより威圧感はないけど。 やっぱり朝には似合わない、狼みたいな風貌のお兄ちゃんをジッと見つめた。