実は俺が大学に入った頃、田舎に帰った彼女から一通の手紙が届いた。


俺は直ぐに読む事が出来なかった。


正直、怖かった。


真実を知るのが、怖かった。


臆病な俺は結局、一年間その手紙を放置した。


自分でもその手紙の事を忘れつつあった頃、俺の双子の弟、七夢(ななむ)が


「手紙、いつまで置いておくつもり?読まないなら僕が読むよ。」


そう言って封を開けようとするから俺は慌てて七夢から手紙を取り上げ急いで大学へと行った。


俺は講義をサボってキャンパス内にあるベンチに座って手紙を読み始めた。


そこには俺が想像もしなかった事が書かれてあった。


田舎に帰った彼女は周りが影で色んな噂をしてようが暖かく迎えてくれた両親への感謝の思い。


そして常に寄り添い励ましてくれた幼馴染みの存在についてが書いてあった。


その幼馴染みと結婚する事も。


教師になる夢は一旦、挫折したけれど決して諦めた訳じゃない。


必ず自分の手でまた掴むからと。


どういった形であれまた教師になると言う夢に向かうためにこの事をどうしても伝えたかったんだと。


あなたも前に進みなさい。


立ち止まらず、振り返ることなく


間違ってても良いから、


空を見上げて胸を張ってどうどうと生きて行きなさい。


一瞬でも私の生徒であったあなたにこの言葉を贈ります。


ーーー夢を諦めないで













手紙はその言葉で締め括られていた。


俺はベンチにゴロンと寝転んで空を見上げた。