臣さんはこれ以上僕に涙を見せんとするためか、堪えるためか、片手で自らの両目を隠すように覆い、唸り声をあげる以外は何も答えてはくれなかった。その姿が何よりも真実味を語っていて、僕もその場に呆然と立ち尽くす。
風子が死んだ……それはどうして? 死因は?
だって、今朝の明るい様子の彼女からは、死ぬだなんて要素は1ミリも感じ取れなかった……!
一向に玄関から動く様子のない僕と、早い帰宅の臣さんのことを不思議に思ったのか、何も事情を知らない洋子さんが奥のリビングから顔を出した。
「あなた、おかえりなさ……ど、どうしたの? 大和まで突っ立っちゃって……」
無視はしたくはないけれど、なんて答えたらいいのか分からずに無言で突っ立っていると、おもむろに臣さんは靴を脱いでリビングに向かいだした。僕も洋子さんも、そっとその後を追う。
洋子さんは、臣さんのただならぬ気配を感じ取ったんだと思う。いつものように茶化すといった様子はなく、臣さん背中を不安そうに見守る。
「……お前たちを迎えに来たんだ」
「え……?」
ぽつり、臣さんは言葉を漏らした。
僕たちを迎えに来た? 僕よりも状況が飲み込めていない洋子さんは、頭を傾げて聞き返す。
けれど、臣さんはそれには何も答えず、「これを見てくれ」とリモコンのボタンを押してテレビの電源をつけ、ニュース番組を流した。
風子が死んだ……それはどうして? 死因は?
だって、今朝の明るい様子の彼女からは、死ぬだなんて要素は1ミリも感じ取れなかった……!
一向に玄関から動く様子のない僕と、早い帰宅の臣さんのことを不思議に思ったのか、何も事情を知らない洋子さんが奥のリビングから顔を出した。
「あなた、おかえりなさ……ど、どうしたの? 大和まで突っ立っちゃって……」
無視はしたくはないけれど、なんて答えたらいいのか分からずに無言で突っ立っていると、おもむろに臣さんは靴を脱いでリビングに向かいだした。僕も洋子さんも、そっとその後を追う。
洋子さんは、臣さんのただならぬ気配を感じ取ったんだと思う。いつものように茶化すといった様子はなく、臣さん背中を不安そうに見守る。
「……お前たちを迎えに来たんだ」
「え……?」
ぽつり、臣さんは言葉を漏らした。
僕たちを迎えに来た? 僕よりも状況が飲み込めていない洋子さんは、頭を傾げて聞き返す。
けれど、臣さんはそれには何も答えず、「これを見てくれ」とリモコンのボタンを押してテレビの電源をつけ、ニュース番組を流した。



