汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)

 みんなも馬鹿くんの言葉を聞いて、「そうだな」「そうね」と同意し、放っておくことにしたらしい。こちらに視線を向けてはこなくなった。

 坂口さんは自分の好意を無下にされたことに口をとがらせ、自分で上着を羽織り直し、他のみんなと同じように由良城さんを放り出す。

 ……野々宮くんと大上さんは相変わらず心配している様子らしく、由良城さんの傍から離れなかったけれど。


「本当に熱があるなら、たしか、おでこよりも、首や脇下を冷やすといいって聞いたことがあるけど……」

「それは俺も聞いたことがある。慧、熱いのか?」


 触れることさえ拒絶されたため、由良城さんの体温が分からないどころか、そもそも本当につらくて蹲っているのかが分からない。

 野々宮くんが、自分の両膝に顔を埋めたままの彼女に覗き込むようにして問い掛ける。しかし、彼女は小さく「大丈夫」と漏らすだけだ。


「つらいようなら、少しでも元気が出るように、食べやすいもので栄養になるモノがあればいいのにね……」

「林檎とかか?」


 大上さんの気遣いに、野々宮くんが問う。

 風邪を引いた時などに剥いた林檎を用意するのは鉄板だけど、林檎なんてそんなモノは、当然この場にあるわけが無い。


「うん……。あとは、ゼリーやプリンとかもいいかもね。何か胃に入れようと思った時、簡単に食べられるし」

「プリンは初耳だな……」

「材料に卵が使われてるから、ちょっとは栄養になるかな……って。あくまでも私の家では、の話なんだけどね」


 野々宮くんに初耳だと言われた手前、遠慮がちに、そして照れくさそうに大上さんは笑った。

 風邪を引いた時にプリンを食べるのは僕も初耳だけれど、確かに、話を聞いていると卵には栄養があるし、甘く加工されていると言えど弱っている身体には良さそうな気がした。