汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)

 ドクドクドクドク。
 急激に速くなる、心臓の鼓動。

 それ以外の音はどんどん遠ざかっていって、自分の心臓の音だけが絶えず耳元で鳴り続けているようだった。

 次第に息がうまく吸えなくなっていって、吐き出せなくなっていって、……苦しくて、無意識のうちに自分の心臓部に手を当てて、そのまま胸元の服の一部を握りしめた。

 ……しんだ。

 頭の中で、臣さんの言葉が何度もリピートする。繰り返し、繰り返し。だって信じられない。臣さんの言っていることが、理解できない。

 ……しん、だ?

 死んだ? 誰が? 風子が? 死んだ?

 「大和ちゃん!先に学校にいっているよー!」──って、今朝、明るくて無邪気な笑顔で僕に手を振っていた、妹の風子が……?

 ──死んだ?


「冗談……でしょう?」


 冗談にしてはタチが悪すぎる。そんなこと、分かっているのに……。ましてや臣さんがそんな冗談を言うだなんて、想像がつかない。でも、それならば、臣さんが放った言葉は〝真実〟ということになるわけで……。そうなると、風子が死んだという発言自体が、〝本当〟ということになるわけで。

 信じられない、信じたくない、色んな気持ちがごちゃ混ぜになって、否定してほしくて、僕の聞き間違いであってほしくて、思わず臣さんに問い掛ける。

 けれど、何をどう足掻いたって、臣さんがこうして僕の目の前で泣いていることが何よりの証拠だというのに。──風子が死んだことが、事実だということの。