その表情はみんな強張っていて、平常心を保つために喋っているのだと気付く。……喋っていないと、恐怖の闇が自分を覆い尽くしてしまうような気がするから。
……僕だって、怖い。
ずっと無言で、冷静に誘拐犯の目的や思想を予想して考えてはいるけれど、怖いものは……怖い。風子が死んだっていう実感さえないのに、未だ信じられないというのに、今度は僕が……僕たちが、どうしてこんな目に遭わないといけないのだろう?
目を開けたら見知った顔があるといえど、誰だか分からない人にこんな得体の知れないところに連れて来られていて、これからどうなってしまうのかが分からない。〝怖い〟以外のどんな感情を抱けというのだろう?
「大和くん。大丈夫?」
「えっ?」
黒月くんに声をかけられ、ハッとする。僕は黒月くんに気遣うような言葉をかけられるほど、暗い顔をしていた……?
慌てて黒月くんの方を向く。「大丈夫?」という気遣いの言葉と連動するように、そこには心配そうな表情が浮かべられていた。
「しょ、正直、怖いけれど、なんとか……」
心配させたくなくて、無理に笑顔を作ってみせた。けれど、黒月くんの表情は変わらないまま。
「……僕の前では、強がらないでほしいな」
「えっ」
「僕がついてるから。だから、無理しないでね?」
黒月くんなりに本当に心配してくれて、気にかけてくれているんだと分かり、自然と笑みがこぼれる。気休めだろうとなんだろうといい。誰かがこうやって気遣ってくれることって、こんなにも嬉しいものなんだ。
「うん……ありがとう」
お礼の言葉も自然と言えた。すると、黒月くんの表情も少し柔らかくなったような気がする。僕の気持ちが少しでも落ち着いたことを、察してくれたみたいだ。
……僕だって、怖い。
ずっと無言で、冷静に誘拐犯の目的や思想を予想して考えてはいるけれど、怖いものは……怖い。風子が死んだっていう実感さえないのに、未だ信じられないというのに、今度は僕が……僕たちが、どうしてこんな目に遭わないといけないのだろう?
目を開けたら見知った顔があるといえど、誰だか分からない人にこんな得体の知れないところに連れて来られていて、これからどうなってしまうのかが分からない。〝怖い〟以外のどんな感情を抱けというのだろう?
「大和くん。大丈夫?」
「えっ?」
黒月くんに声をかけられ、ハッとする。僕は黒月くんに気遣うような言葉をかけられるほど、暗い顔をしていた……?
慌てて黒月くんの方を向く。「大丈夫?」という気遣いの言葉と連動するように、そこには心配そうな表情が浮かべられていた。
「しょ、正直、怖いけれど、なんとか……」
心配させたくなくて、無理に笑顔を作ってみせた。けれど、黒月くんの表情は変わらないまま。
「……僕の前では、強がらないでほしいな」
「えっ」
「僕がついてるから。だから、無理しないでね?」
黒月くんなりに本当に心配してくれて、気にかけてくれているんだと分かり、自然と笑みがこぼれる。気休めだろうとなんだろうといい。誰かがこうやって気遣ってくれることって、こんなにも嬉しいものなんだ。
「うん……ありがとう」
お礼の言葉も自然と言えた。すると、黒月くんの表情も少し柔らかくなったような気がする。僕の気持ちが少しでも落ち着いたことを、察してくれたみたいだ。



