汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)

 しかし……。


「──待って。ひとり、いないようなのだけれど?」

「え?」


 上杉くんの発言を否定する者が現れた。わずかに手をあげて言葉を発したのは、やっぱり水無さんと隣同士でいる西園寺さんだった。さすがに紅茶の用意はないけれど、こんなわけの分からない状況での主従関係は、より強く成り立つように思える。

 西園寺さんに限ってはお金持ちのお嬢様だけれど、決して世間知らずというわけではなく、むしろ頭が良く、頭の回転がはやい方だ。こんな状況なのにも関わらず、西園寺さんはいつも通り凛としており、とても落ち着いた態度でいる。

 なんとなく、西園寺さんは探偵に向いていそうな気がする。彼女が「犯人はあなたね」などと決めゼリフを言ったら、なかなか様になりそう……だなんて、今はそんなことを考えている場合じゃないんだよね。


「ひとり、いない……?」


 また、みんなは懲りずに辺りを見渡すけれど、西園寺さんが言う〝ひとり〟は、誰も欠けていないように思えた。

 いったい、西園寺さんは誰のことを言っているんだろう?

 誰のことなのかまったく分からず、疑問に思っていると、西園寺さんはスッ……と目を細めて口を開く。


「日比野真子──担任の教師の姿が、見当たらないようなのですが?」

「……あっ」


 言われてみれば、確かに日比野先生の姿はない。

 そっか、一応は日比野先生もクラスメートのひとりとしてカウントしてもいいのか。生徒たちだけで話を進めちゃっていた。だとすると、日比野先生は誘拐された側のメンバーとしては含まれていないのかな?僕たち生徒だけが、ここに攫われた理由がある……?