汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)

 冷たくなった遺体を見て、〝怖い〟とか〝気持ち悪い〟なんていう負の感情は湧かなかった。人狼といえど、彼女がクラスメートだからかな。あまり会話することは無かったけれど、僕のよく知る人だからかな。

 自分でも、どうして自分がこんな行動をしているのかは分からない。けれど、このまま放置されるのはあまりにも可哀相だから、冷たくなってしまった由良城さんの頭を撫でたんだ。


「……るな」

「……」

「触るな、って言っているんだよ!犬飼!」


 最愛の人が目の前で殺されて、あまり親しみのない僕が易々(やすやす)と彼女に触ったことが彼の怒りに触れたらしく、ガバッと僕の方を向く野々宮くんは、僕の襟元を掴み上げてそう怒鳴り散らした。

 その表情は、案の定、怒涛に塗れていて怖かったけれど、僕はそれに臆さずに言う。


「いやだ……!」

「?!」


 教室では比較的に大人しいと思われている僕が、大きな声でそう言い返したことに対し、野々宮くんは両目を見開いて驚く。

 僕は、言葉を続けた。


「僕は……!何が正しくて、何が間違っているのかなんて分からないっ!さっきまで生きていたクラスメートたちが、いとも簡単に死んでいくのを見て、嫌だし、怖いし、頭は混乱しているよっ!」

「……っ」

「でも、殺されてしまった上杉くんだって、如月さんだって、人狼の由良城さんだって、僕たちのクラスメートだっていうことに変わりはないし、悲しいよ!こんなの、悲しすぎるよ……っ!!!」

「いぬ、かい……」

「人狼として生まれてくることを望まなかった由良城さんは、たとえ血が人狼でも、心は人間なんだよ……っ。彼女は人間なんだ!そんな彼女が、クラスメートに無惨にも殺されたのを見て、見て見ぬフリなんて出来ない……っ!!!」