「……っ、……、……!」
声にならない声で、由良城さんは絶望を浮かべる野々宮くんの顔に向かって右手を伸ばす。
切なそうに笑う由良城さん。何を言っているのかは僕には分からなかったけれど、いくつかの候補は思い浮かんだ。でも、最終的にそれは野々宮くんだけが分かればいいことなんだと思い、僕はそれ以上、思考を働かせることをやめた。
やがて、ぱたりと落ちた彼女の右手。
それ以降、彼女はピクリとも動かなくなった。
それをただただ見つめる僕ら。急な出来事に対し、思わず息をすることさえ忘れる人もこの中にいたんじゃないかと思う。
悲鳴や何か声を発すことが出来ないでいることが、今、目の前で何が起こったのかを理解しようと必死に思考を巡らせている証拠だから。
──そんな中、ただひとり、西園寺さんだけはニヤリと口元を歪ませて笑みを浮かべ、短い拍手を水無さんに対して送った。
「よくやりましたわ、芽衣」
ぱちぱちと、乾いた西園寺さんの拍手の音が、密室の中でやけに大きく反響する。
西園寺さんが笑顔で何を言っているのか分からなかった。水無さんのことを褒める理由も、意味も、拍手をすることさえ。すべてこの場において相応しくなんかないから。
しかし、西園寺さんの言動を噛み砕くように少しずつ理解していった瞬間、頭から血の気が引いていくのを感じた。──西園寺さんが下したのは、野々宮くんと由良城さんにとってあまりにも惨すぎる最悪の結末だったから。
「西園寺さ──」
「なに、やってるんだよ」
いくらなんでも酷いんじゃないか、と思わず僕が西園寺さんに声をかけるのを遮るようにして、野々宮くんの怒涛に塗れた低い声が発せられる。
声にならない声で、由良城さんは絶望を浮かべる野々宮くんの顔に向かって右手を伸ばす。
切なそうに笑う由良城さん。何を言っているのかは僕には分からなかったけれど、いくつかの候補は思い浮かんだ。でも、最終的にそれは野々宮くんだけが分かればいいことなんだと思い、僕はそれ以上、思考を働かせることをやめた。
やがて、ぱたりと落ちた彼女の右手。
それ以降、彼女はピクリとも動かなくなった。
それをただただ見つめる僕ら。急な出来事に対し、思わず息をすることさえ忘れる人もこの中にいたんじゃないかと思う。
悲鳴や何か声を発すことが出来ないでいることが、今、目の前で何が起こったのかを理解しようと必死に思考を巡らせている証拠だから。
──そんな中、ただひとり、西園寺さんだけはニヤリと口元を歪ませて笑みを浮かべ、短い拍手を水無さんに対して送った。
「よくやりましたわ、芽衣」
ぱちぱちと、乾いた西園寺さんの拍手の音が、密室の中でやけに大きく反響する。
西園寺さんが笑顔で何を言っているのか分からなかった。水無さんのことを褒める理由も、意味も、拍手をすることさえ。すべてこの場において相応しくなんかないから。
しかし、西園寺さんの言動を噛み砕くように少しずつ理解していった瞬間、頭から血の気が引いていくのを感じた。──西園寺さんが下したのは、野々宮くんと由良城さんにとってあまりにも惨すぎる最悪の結末だったから。
「西園寺さ──」
「なに、やってるんだよ」
いくらなんでも酷いんじゃないか、と思わず僕が西園寺さんに声をかけるのを遮るようにして、野々宮くんの怒涛に塗れた低い声が発せられる。



