「ひどいキズ」

落ちていたブラを拾い上げ、
止め金をはめようとしたけど、
金具が壊れてた。

金具をとめる仕草をしてるのに、
ぷらんと宙ぶらりんになった
下着を見ていて須田さんが気がついた。


「擦り傷…痛かった?」


「うん」
痛いよ。聞くまでもなく。


「今度はちゃんとヒゲそっておくよ」



「うん」



「千鶴、鍵を変えたのはどうして?」

西川さんが、
合鍵で部屋に入っていたからだ。
が、正直に言っていいものか…


「合鍵、返してもらえなかったから…」

「鍵を渡したのはいつ?」

「その3か月前」


「彼は、部屋にいつ来た?」



「三回くらい。台風の日が最後…」

「それ、間違いない?
その日は、結局会ってなかったの?」

「ええ…」


「わかった。質問はそれだけ。あともう一度はしなきゃな」



「あの…私」




「わかってるよ。気にするな」


「それより、
この間の経理の子が話してくれたことで、
調べなきゃいけないことが増えて、
忙しくなるけど。
なるべく時間とるから」



「うん」

やっぱり、
西川さんが一番疑われてるのだろうか。