「千鶴、この件に関わるのはよせ」
仁志さんが、腰に手を当てて、譲らない姿勢で宣言する。


「はい」
私だって、さすがにナイフで脅かされたのはこたえたし、奥田さんには二度と会いたくない。


「はあ?」
仁志さんは、本当に驚いていた。


素直なのは好きじゃないってこと?

「はあ?って何よ」


「びっくりした。素直に言うこと聞くわけないと思ってたから」


「じゃあ、ちゃんと聞いたから。
もういい?」

みんなのところに帰ろう。

私が何をプレゼントされたのか、興味津々だろうから。


腕をつかまれて、前のめりになる。
「まて、俺に渡すものがあるだろ?」


「プレゼント?あら?
誕生日だったかしら?
どんなプレゼントが欲しいの」

私は、仁志さんに嫌みを言いたかったのではない。本当に。

イラついたのではなく、不機嫌なのは恐怖からだ。

恥ずかしいことに、私は、ブルブルと全身で震えていた。


「わかった…それは、また今度で」

仁志さん、引いてる…
ひどいこと言って、
ごめんなさいって謝らなきゃ。


私は、紙袋を渡した。


「えっ?」


「渡せって言ったでしょ、どうぞ」


「中身を見ていいのか?」


「どうぞ」

ひっぱたかれたり、
投げつけられたりしてひどい扱いしたけど、いらないわけじゃない。

「何だよ…」


「言っとくけど、見せろって言ったの、そっちだからね」


「千鶴?」


「何?」


「これ、やっぱり、預かっておく」


「どうぞ。お好きなように」