「陽子さん、
1つ取り引きをしませんか?私と」

「何かしら?」

私は、姿勢を正した。


「台風の夜、私の部屋に入ったのは、
陽子さんですよね?」

まずい、っていう顔ではなく、面白がっているみたいだった。

「それで?それを、認めると、
何の特典が付いてくるの?」

「証拠が見つかったら、
その情報は、西川さんの為に使います」


「わかった…認めるわ」
陽子さんは、あっさり認める。


「西川さんは、知ってたんですか?」


「いいえ。知ってたら止められてた」
あはは、と笑う。


「パスワード使って
なにする気だったんですか?」


「その頃、まだ、
あなたのこと知らなくて。その…」


「捜査の目を混乱させようと思った?」


「どうして私だと思ったの?」


「鍵は、
西川さんにしか渡してなかったのと、
吸い殻…西川さん、
会社では、吸ってなかったから」

「そっか、バレてたんだ。
本当は、混乱させるためだけじゃなく、
あなたの所に、
証拠があると思ってたから、探さなきゃって思ったの」


「西川さん、証拠は陽子さんではなく、私に託しました」


「ええ…そうね。だから、千鶴ちゃんが決めて。どうするのか」