くるまのなかで


石段を上って連れてこられたのは、小さな神社の境内だった。

境内には他に4人の男子生徒がいた。

照明は外灯が一基。

暗くなって、明かりに虫がたかっている。

その灯に照らされた場所に引っ張り出された。

逃げないよう、手首を後ろで縛られ地面に座らされる。

タバコを吸う者がいたり楽しそうに大声で歌い出す者がいたり、賽銭箱をひっくり返して「全然入ってねぇ」とゲラゲラ笑う者がいたりして、気持ち悪い。

ここを管理する神主はいないのか。

怖い。

これから何されるんだろう。

まったくバカな男たちだ。

私なんか捕まえたって、徳井奏太は来ないのに。

アテが外れ腹を立てた彼らに、殴られたりマワされたりするのだろうか。

持ち前のシャープな顔立ちで仏頂面を決め込んでいるが、座っていても膝は軽く笑っている。

木材が日に焼けて黒ずみ、より不気味な空気を醸し出す小さな神社。

社(やしろ)というよりは祠(ほこら)に近い建物に、心で訴える。

本当に神様がいるのなら、私を助けてよ。

すると、なにやら石段の方からゾロゾロ音がし始めた。

「おい、来たぞ」

「徳井だ! 徳井もいるぞ!」

彼らの言葉に、私は心底驚いた。

徳井奏太が、来たの?

見ず知らずの、私のために?