ハンドルに腕と頭を乗せてはぁっと息を吐いた奏太は、そのまま顔だけをこちらに向けた。

白いガードレールがこの車のヘッドライトを反射して、奏太を色っぽく照らしている。

奏太への恋心もあって、さっきのドキドキが治まらない。

ステレオから静かに流れるBGMとハザード、そして自分の心臓の音が、バラバラなテンポでデタラメなハーモニーを奏でている。

奏太から目が離せない。

スッと、奏太の左手がこちらに伸びてきた。

私の右手に軽く重ねられる。

私はここで初めて、無意識に両手をギュッと胸に押し付けていたことに気付いた。

「怖い思いさせたな。ごめん」

「ううん、平気」

右手を体から離すと、奏太の手に軽く力が込められる。

倣うように彼の指を握り返すと、互いの脈を感じて全身が熱くなる。

どうしてそんな顔してるの?

どうして手を握ってるの?

何か言ってよ。

じゃないと私、勘違いして好きだって言ってしまいそう。

再会してまだ四日。

好きになるにも気持ちを伝えるにも早すぎるってわかっているけど、心が堪えられない。

振られて失恋と後悔に苦しむ覚悟を決めて、勇気を振り絞るべきだろうか。

恋心が膨れ上がり過ぎて、私の胸に収まりきらなくなってきた。

だって私、別れてからもずっと奏太が好きだった。