私たちが正気を取り戻したのは、米が炊き上がってから3時間が経過した頃だった。
バッテリーが上がって困っていた私を助けてくれたお礼に手料理を振る舞う、という本来の目的を達成すべく、私は服を着て何とか腰を立たせる。
……立っているのが辛い。
力みすぎて上半身はダルいし、運動不足の体で頑張りすぎて、脚がプルプルしている。
特に太股がヤバい。
セックスでこんなふうになったことなんてなかったのに。
まるでハードなスポーツの後のようだ。
「梨乃、無理しなくていいよ」
「うん、でも、お腹空いたでしょ」
「……空いた」
味噌汁はもう諦めて、冷蔵庫に入れていたおかずだけ、温めて器に盛る。
炊きたてとはいえなくなったご飯をよそい、テーブルへ。
「すげーいい匂いする。うまそう」
「味は保証しないけどね」
同じくダルそうな奏太も、服を着て腰を立たせ、テーブルの前に座った。
ちょっと気恥ずかしいディナーの始まりだ。