責め立てて別れるつもりだったのに。

まさか、こんなに深く感心させられるなんて思ってもみなかった。

「梨乃に隠してたことは話したよ。混乱は解消した?」

「うん。でも、不安がなくなったわけじゃない」

奏太が由美先輩と暮らしているという事実に、間違いはないのだから。

「そうか……そうだよな」

奏太の瞳が揺れたように見えた。

「いくら奏太が好きだからって、女の人と住んでるのに、何も疑わずに付き合うなんて……私にはできないよ」

「ごめん」

謝っただけで、言葉は続かない。

奏太はやっぱりひどい男だ。

これから由美先輩と話し合って同居を解消すると宣言してくれたら、信じて待つことができるのに。

宣言までいかなくても、そうなるようはたらきかけてみると言ってくれたら、希望が持てるのに。

謝るだけだなんて、今後も由美先輩との生活をやめるつもりはないと言ってるようなものじゃない。

簡単に追い出せないのはわかるけど、そんなに亡くなったモト先輩の恋人が大切?

自分の恋人である、私よりも?