「梨乃……」

彼の吐息が熱い。

声のトーンや瞳の動きからも、彼の情欲が見てとれる。

きっと私も似たような顔をしているはずだ。

私の情欲も、彼に伝わってしまっているに違いない。

唇が頬へ、目元へ、耳元へ、首元へと移動する。

どこに触れられても甘い感覚が広がっていく。

明らかに次の刺激を求めようとする動きに、私は抗えない。

より強く彼の背を抱くことで、承諾する意思を伝えてしまう。

「奏太……」

改めて思う。

あなたにだったら何をされてもいいし、どこへ連れて行かれても構わない。

あなたが私を求めるのなら、何の設備もないこの車の中で抱かれたっていい。

後から体が痛くなったって後悔しない。

深く触れ合って、熱く囁き合って、離れていた10年間のブランクを今すぐ埋めてしまいたい。

そのためなら場所なんてどこでもいい。

再びあなたを手に入れたい。

再び手に入れたと実感したい。

今、すぐに―—。