あたしの視線は自然と栞理のスマホへと向いていた。


ピンク色の最新機種に、クマのイヤホンジャック。


「写真を撮ったの」


その言葉にあたしは返事をしなかった。


何か言えば負けてしまう。


そんな気がした。


「見て見たいでしょ?」


そう言い、栞理は自分のスマホ画面をあたしへと向けた。


画面は真っ暗で何も表示されていなくてホッと胸をなで下ろす。


「別に、見たくない」


そう言う自分の声が震えていて、あたしはグッと拳を握りしめた。


栞理なんかに惑わされちゃダメ。


亜耶はあたしの親友なんだから。


川上君だって、今日あたしを誘ってくれたばかりなんだから。