目の前の出来事がまだ信じられないのに、今度は自分の番だなんて言われても混乱が増すばかりだった。


「イレモノはヘビに食事をさせなければいけない。だから君の容姿は徐々に美しさを増していくだろう」


あたしは亜耶と川上君を交互に見た。


まさか、そんな……。


「あたしたちが人よりも綺麗なのは、イレモノになってから変化して行ったからよ」


亜耶があたしの疑問をくんでそう答えた。


告白相手が次々と消えて行く答えが、そこにあった。


亜耶に告白した人間はどんどん消えて行く、その答えがここにあった。


暴力団なんかじゃない。


それよりももっと、ひどい現実が。


「イレモノは警察に掴まってもいけない。刑務所内じゃヘビに食事を与える事が難しくなるからね。そのへん気をつけながらヘビに食事をさせるんだ」


川上君がそう言い、いとおしそうに自分のお腹をなでた。


その中には無数のヘビがうごめいているのだ。