☆☆☆

そして翌日。


あたしはいつも通り家を出た。


今日はちゃんと朝ご飯も食べた。


川上君にキスをされた事はいまだに夢の中のようだけれど、その後先輩の行方がわからなくなったという話を聞いて、そっちの方が気がかりになっていた。


人間、ショッキングな出来事が続くと感覚が鈍くなり、その中でも普通の生活ができるようになるのかもしれない。


「菜月、おはよう」


途中で後ろから声をかけられて振り返ると、亜耶がいた。


今日はあたしの方が少し早く出ていたみたいだ。


「おはよう亜耶」


「今日も勉強だねぇ」


亜耶はフゥと小さく息をはきだして言った。


それに対して返事をしようとした時、学校の近くのコンビニから川上君が出てくるのが見えて口を閉じた。