でも、嫌な気はしなかった。


こうして3人で会話をするのは久しぶりだし、嬉しい気持ちの方が大きかった。


「今日は小テストがあって嫌だね」


川上君がそう言い、あたしは「えっ?」と、目を見開いた。


「え? 昨日持って行ったプリントにも書いてあったと思うけど」


そう言われてあたしは「あっ!」と、声をあげた。


あの後プリントを読もうと思っていたけれど、あの日は色々あって疲れてしまったからそのまま寝てしまったんだ。


結局、プリントはまだ読んでいない。


「待って。テスト範囲教えるから」


川上君が慌てて数学の教科書を持ってきてくれる。


小テストは数学らしい。


そんな事も知らなかった上に数学は一番苦手な科目だ。


焦るあたしの視界に、栞理が見えた。


栞理はいつも通り友達と話をしていて、深刻そうな表情をしている。


ケンジ君の事を話しているのかもしれない。