そして鏡をあたしの方へ向ける。


「今鏡に映っている子は可愛いと思うよ?」


とびきり可愛い笑顔でそう言いきった亜耶。


思わず顔が熱くなるあたし。


親友相手になに照れてるの!


あたしは鏡をしまって亜耶を見つめた。


「普通はね、あたしよりも亜耶の方が可愛いって感じるのんだよ?」


「そうなの?」


「そうだよ! そして川上君はカッコイイって感じるの!」


「そ……そうなんだ……」


強い口調のあたしに驚き、亜耶が瞬きを繰り返す。


その仕草1つ取ってもあたしとは大違いで、とても絵になる。


だけど、亜耶はそれに気が付いていない。


自分の美しさを知らないんだ。


亜耶とは小学校の頃からの付き合いだから、それが演技じゃないことくらいわかっている。


あたしは「ふぅ」と、肩を落とした。


どうすれば亜耶は自分の美しさに気が付くんだろう。