俺の必死の願いをバッサリ切って、妹は到着した鳥のたたきに手を付け――ようとして、止めた。
「訊かないであげようかとも、思ったけど」
突然そんなことを言い出した妹に、俺はクエスチョンマークを頭の上に浮かべてみる。
だが本当は、妹がなにを言おうとしているのか、わかっていた。
「本当は、さっきなんて訊こうとしたの」
俺にそう尋ねて、妹は今度こそ鳥のたたきに手をつける。
「おまえ、そういうところだけは妙に鋭いよなぁ……」
もしかしたら、婚約者の男はこういうところにやられたのかもしれない。
そう言うと、「茶化してないでさっさと答えて」と、睨みつけられる。
絶対鬼嫁になるな、と確信しながら、俺は渋々、さっき尋ねようとして飲み込んだことを、再度吐き出す。
「――おまえ、結婚式、呼ばねえの?」
誰が、とはあえて言わなかった。
言わなくても、わかると思ったから。