「陽希、どうしたの…?」


「いや、なんか…半端ない緊張に襲われてる。彼女の部屋に入るって、すげぇ特別な感じするから。どうしていいか分からない…っていうか…」


確かに、ちょっと表情が硬くなってる。


誕生日を楽しんでもらうためにも、緊張を解かなきゃ…だよね。


「と、とりあえず座って?私、何か冷たい飲み物を持って来るから…。」


「それなら、俺も手伝うよ。」


「ううん、一人で大丈夫!陽希は、ゆっくり寛いで待ってて?」


そう言って、部屋を出た私はキッチンへ。


まだ緊張で固い体を解すべく、肩を上下させたり、背伸びをした。


陽希に手伝ってもらっちゃうと、サプライズにならないもんね…。


私が一人で“これ”を部屋まで運ばないと。


冷蔵庫を開けて取り出したのは、もちろん…陽希へのバースデーケーキ。


昨日の夜に作って、冷やしておいたレアチーズケーキだ。


前に直さんのカフェで新作のスイーツの試食をさせてもらった時、レアチーズタルト…美味しそうに食べてたし…


ショートケーキよりもサッパリと食べれるかな…と思ったんだ。