ある角を曲がった時、視界一杯に飛び込んできた倉庫の天井に目を見開いた。



いくつもの電気と天井一面に広がるパイプ菅。


さっきより大きくなった叫声と殴り合う音に鼓膜が震える。



突き当たりにあった鉄格子の手摺りを掴めば、眼下には想像以上に凄まじい光景が広がっていて。


その光景にゴクリと生唾を呑み込む。



狭い倉庫の中でごちゃ混ぜになっている鳳皇とblade。


まだ喧嘩が始まってそんなに経っていないのか、多くの人間が立っていた。


素手で戦う者、棒を振り回す者。


中にはこの倉庫の道具を使っている者もいて、まさに戦場と呼ぶに相応しい光景。



「……みんなっ」



……嫌だ。嫌だよ。


目の前で起きている光景が信じられなくて、倉庫内を見下ろしながら廊下を無我夢中で走る。




十夜、煌、彼方、壱さん!!


何処!?何処に居るの!?



倉庫内を探すけど、人が多すぎて何処に居るのか分からない。


階段、階段は……あった!


階段を見つけると、そこから倉庫内に居る皆に向けて「みんなー!」と思いっきり叫んだ。


その大声に、今まで騒がしかった倉庫内が一気に静かになり、視あたしに向かって視線が一斉に集中した。


と同時に、口々にあたしを呼ぶ鳳皇メンバー達。



「凛音!!」

「りっちゃん!!」

「凛音ちゃん!?」

「凛音!!」



十夜達幹部の声が聞こえたけれど、此処から姿を確認出来たのは十夜と煌だけで、彼方と壱さんの姿が何処にも見当たらない。