願うのは一つだけなんだ





『…あのね、香枝。

 私、香枝にずっと言いたかったことがあるんだ。

 香枝に言いたかったこと、香枝に聞いてもらってもいいかな…?』









私の問いかけに香枝からの返事はない。




香枝が電話の向こうで私を話を聞いてくれるか、それも分からない。






だけど、



香枝とあの頃のようにくだらない話をしながら大笑いしたい。


その想いが、その願いが、今の私にはしっかりとあるからー…






それを香枝に伝えたい…!





香枝に伝えることだけはしたい…!











『あのね……私、本当は佐藤君のこと、好きだったんだ。
 香枝に言われる前から、ずっと…。

 でも…香枝に言ったら、自分が佐藤君に対して抱いてる好きの想いがもっと、もっと大きくなっちゃいそうで…なんか怖かったんだ。

 そんな時に香枝の想いを知って…言わなきゃ、そう思った…。

 でもごめんね…香枝に言えるほど、私、自分の想いに、佐藤君への想いに自信がなくて…だから言えなかったんだ………本当にごめんなさい!』










電話越しで私は初めて、香枝に自分の想いを伝えた。






香枝からの言葉はなくて、香枝に届かなかったかもしれない…







でも、やれるだけのことを私はやった。




だから、香枝に届かないのは寂しいけど、それでも香枝との友情も、佐藤君への想いもここで諦めがつくような気もするー…