願うのは一つだけなんだ






学校に行かなくなって、


お堅い仕事に就いている父は、私ではなく母を怒鳴った。





『お前の責任だ!
 お前がきちんと百花を管理していなかったから、だから不登校になんかなるんだ!』






娘に面と向かって“不登校なんて恥ずかしいから早く学校に行け!”と言う勇気がなかったのか、

あるいは既に自分の娘と思うのも恥ずかしく、私の顔さえ見たくなかったのか。




父の怒声は毎晩、母を苦しめた。







だから昼間は母がドア越しに私に泣きつくようになった。






『百花、お願い…。
 あなたが学校に行ってくれないと……お母さん、またお父さんに怒鳴られるの…。


 お願い、お願いよ…百花、学校に行って……』





でも、私は頑なに部屋のドアを開けたりはしなかった。




もともと付いていた鍵をかけ、ずっとベッドに横になっていた。