悔しがる女の子たちの様子にクスリ笑ったのは、わたしだけではなかった。

「あ……」と呟き、固まってしまった。


――周桜くん!?


周桜くんは、転がった銀貨を拾い、女の子に「おまじない?」と訊ねた。


「あれ!? 正門で、エウリュディケのヴァイオリンに銀貨を投げてた……」


「エウリュディケ?」


「あ……正門の女神像。願い事は叶った?」

女の子は、周桜くんを見上げ唖然とし、何も言えずにいる。

後ろで、ナビをしていた女の子が小さな声でこたえる。


「願い事は、後ろ向きにコインを投げて、竪琴のf字孔に入れて……それから」


「まだ、あるんだ」

周桜くんは拾い上げた銀貨を手に、女の子が銀貨を投げた位置に移動する。

竪琴のf字孔の位置を確認し、くるり後ろ向きになり、指に挟んだ銀貨を捻りを掛けて強く弾く。


「あっ」