王様とうさぎさん

「……手際いいですね」

「洗い物が多いときには、子どもの頃から手伝ってたから。

 ちなみに、うちに食洗機はない」

「えっ」

 寺で大量の洗い物が出るときもあろうに、それはちょっと、と思ったのが、顔に出たらしい。

「わかった。
 食洗機は買おう。

 一番大きいのを。

 だから、安心して、嫁に来い」

 なに言ってんだ、この人は。

「食洗機の問題だけじゃないですよ。

 お寺にお嫁に行くって大変でしょ?」

 朝早く起きるのも、檀家さんとの付き合いも。

 誰も跡継ぎが居なかったら、寺を出て行かねばならず、家さえも失う。

「いや、それ以前に、私、貴方のことを好きじゃないんですが」

 振り向いた允に、

「貴方だって、私のこと、好きなわけでもないでしょう?」
と言うと、それはわからない、と言う。

 わからないってな……。