「しばらくして、気がついたんです」
と言うと、允は、もう何も気がつくな、という顔をしていた。

「背中にぴったり誰かが張りついているんです。

 ひんやりとした空気が伝わってきました。

 身を堅くして、じっとしていると、耳許で小さな女の声が。

 助ケテ……。



 ……大丈夫ですか?」

 止まっている允にそう問うた。

「ほら、夜中に突然、こんなことが起こったりするし。

 私とは結婚しない方がいいです。

 たまに、霊障相談受けにいったりしてあげますから」

 そう言ったのだが、允は、いや、平気だ、と言う。

「大丈夫だ。

 お前の背中側に俺が張りついて寝ればいいじゃないか」

「いや、それだと、貴方の後ろに霊が憑くと思いますけどね」

 允はいろいろ想像したらしく、元気を失った。

 やはり、この結婚は無理そうだ、と思う。