隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。



「じゃっ」



そう一言交わしてそれぞれの家に入る。



宙は家には来ないと言ったものの、そういえば家の鍵を持ったままだと思い出す。



もしかしたら突然入ってくるかもしれないからと、鍵をかけてからさらにチェーンもかけておいた。



これで完璧。



宙は家には入ってこられない。



「ふぅ……」



ひと段落してため息をつく。



私のため息だけが家の中に響き渡って、なんだか寂しい。



これから10日の一人暮らし。



こんなにひとりでいるのは初めてだ。



えっと、まずは食材。



家にどれだけ食料があるのか冷蔵庫を見る。



「結構入ってる……」



野菜にお肉、魚……



冷蔵庫にはいろんなものが入っていた。



でもどれも調理しないといけないものばかり。



昨日は無かったものだから、一度帰ってきたであろうお母さんが買ってきてくれたもの。



なんでもっと簡単なレトルト食品とかないかな……私でも作れるような。



リビングに行くと、テーブルにひとつのメモが置いてある。



見るからに綺麗な字はお母さんのもの。



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茉奈へ

突然ごめんね?
10日間の海外旅行が当たっちゃっ
たの!
だからふたりで行ってきます。
食べ物はたくさん買っておいたから、
宙くんに作ってもらってね?

あ、そうそう。
空いてる部屋もあるし、宙くんと半
同棲生活してもいいわよっ♪

お母さんより

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