隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。



なにやら楽しそうに話している宙とお母さん。



何を話しているのかとっても気になる。



私が盗み聞きしようと近づくと、逃げるように避けられる。



それに、どんなに頑張って背伸びをしたり飛び跳ねても、私よりずっと背の高い宙の耳までは届かず断念。



私は大人しく宙の隣を歩く。



「はい」



「終わったの?」



「あぁ」



スマホが返ってきたのは、電話が終わったあと。



まだお母さんに聞きたいことが山ほどあったのに、返ってきた頃にはもう通話が切れていた。



「その、お母さんはなんて?」



「茉奈をお願いしますってさ?」



な、なんだ、その娘を嫁に出すような言葉は…!



「またわざわざお前の家にご飯作りに行かなきゃなんねーのか。面倒くさ」



なに、わざわざって!



面倒くさって!



「そんなに嫌なら来なくていいし!むしろ来ないで!」