だんだんと大きくなる足音。



そしてピタリと止まる。



「なんて綺麗な姫なんだ…」



そう呟いた王子様はさらに白雪姫に近づく。



「まるで眠っているようだ」



隣に立ってそんなセリフを言いながら、王子様が白雪姫の髪をそっと撫でる。



宙の大きな手。



ドキッと胸が音をたてる。



「可哀想な白雪姫…」



これで、白雪姫の劇が終わる。



宙の息づかいが聞こえて、顔が近づいてくるのがわかる。



私が目を開けるタイミングは、宙がいいよと言ったあと。



それまで私は目をつぶったまま待つ。



「いいよ」



目を開けていい合図。



そう言った宙は顔を離す……はずだった。