それは1度で伝わった。
けれど、嫌な予感しかしない。
もし開けたら……
「い・や・だ」
絶対に開けたくない私は、同じように返す。
「い・い・か・ら・ま・ど・あ・け・ろ」
なによ。
窓なんて開けたら絶対家に入ってくるじゃん。
私は絶対嫌だという雰囲気を出しつつ、カーテンを締めてしまおうとした。
「…え?」
なのに、私のカーテンを持つ手が止まる。
「それ……宙のお母さんのマフィン!!」
宙が窓越しに見せてきたのは、マフィン。
お菓子作りが趣味な宙のお母さんは、こうやってたまにおやつを作っては私にもくれるんだ。
それが、とっても美味しくて、私の大好物のひとつ。



