「ねぇ、お母さん?お父さん?何か用?」
そうドアの方に声をかけながら近づき、そっとドアを開けた。
「……いない」
ドアを開けても、そこには誰もいなかった。
───コンコンコン
え?
───コンコンコンコン
よくよく耳をすませてみれば、その音は窓の方から聞こえた。
まさか……
まさかだよね?
でも、この先にはアイツしか……
シャーっと自分の部屋のカーテンを開ける。
「宙……」
予想通り、そこには自分の部屋の窓から少しだけ身を乗り出した、宙の姿があった。
「…なに?」
口を大きく開けて、口パクで伝える。
こんな夜遅くに何の用なのか。
「あ・け・ろ」
宙も大きな口を開けて、口パクで伝えてくる。



