隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。



「あれ、なんで泣いてんだろ私」



「泣けばいいじゃん。あ、でも目腫らすなよ?」



「わかってるよっ、バカ宙っ」



「なんでバカって言われなきゃなんねーんだよ…」



文句を言いつつも、優しく抱きしめて頭を撫でてくれる宙。



大ッ嫌いで意地悪な宙のはずなのに、なんでこんなに優しいのよ、バカ。



「優しい宙、なんてっ……気持ち悪いっ」



「はぁ?なんだよそれ……人がせっかく」



ごめん宙。



そんな優しい宙は大ッ嫌いなんかじゃないよ。



「じゃあ、また明日」



「あぁ」



家に着いて、そんな言葉を交わして中に入った。



「ただいまー」



「おかえりなさい」



今日は学校祭の前日。



明日は私の主役の劇の公演日。



知っていたお母さんは私の大好きな料理を作って待っていてくれた。