こんな私を宙と一緒でも主役に選んでくれたこと、今では感謝している。
こんな経験滅多にできることじゃない。
でも、主役だからこそプレッシャーが大きくかかる。
「知ってる。けど、今回は頑張って練習してただろ?学校でも家でも」
学校ではもちろん、人よりできなかった私は、家でも毎日セリフを読んで演技の練習をしていた。
……って
「もしかして宙、見てたわけ!?」
「見てたも何も、隣でやってりゃ見えんだろ」
たしかに……
ちゃんとカーテンしておけばよかった。
「それに、茉奈がちょっとやそっと失敗したって誰も責めねーよ。もしなんかあったら、俺がいるだろ?どんなミスでも、俺がカバーしてやるよ」
なによ、かっこつけちゃって。
でも〝頑張って〟だけじゃなくて〝失敗しても大丈夫〟そんな言葉が欲しかったのかもしれない。
ホッとした私の目から、じわりと温かい雫が流れ落ちた。



