「ずっと動き回ってたもんな」
「うん……」
ただでさえ静かな夜道。
沈黙した時間が続く。
「大丈夫だ」
「え?」
いつの間にか私の後ろにいた宙が、私の背中を押した。
「どうせ不安になってんだろ?明日の劇」
「…そんなこと、ないし」
「ウソつけ」
宙にはバレバレだ……
「…不安なの。宙ならわかるでしょ?私、本番に弱いから」
小さい頃からそうだ。
学芸会でも、自分の出る番を間違えてしまったこともある。
それがたまになら誰にでもあるのかもしれないけど、毎回何かしら起きている。
今回はよりによって主役。



