「立てる?」そう言って、手を貸してくれたたっくん。
近くにあったベンチに座らせてくれて「これ飲んで落ち着いて?」とジュースを買ってきてくれた。
しばらくして、だんだんと早くなっていた鼓動が落ち着いてくる。
「ありがとう、たっくん。でも、なんでたっくんがここに?」
たしか、たっくんは用事で早く帰ったはず。
「あーうん。用事って言ってたと思うんだけど、すみれとデートだったんだ」
「すみれと…デート!?」
なんでも、すみれはただのショッピングだとしか思っていないみたいだけど……。
「そうだったんだね」
納得して、ある不安がよぎった。
もしかしたらあの人たちみたいな人が……
デートだったってことは、すみれと一緒にいたはずのたっくん。
でも、すみれがいない。
ってことは、どこかにすみれがひとりでいるってことだ。



