隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。



「ありがとうございます!」



丁寧に礼もしながら爽やかな笑顔を見せる好青年。



宙と違っていい人だこと。



道案内を頼むにしても、私のことを心配してくれたし。



「こっちです」



ニコッと微笑んで、好青年を導く。



たしかにここのトイレは活気あるお店からは離れて見つけにくい場所にあるんだよね。



よく子どものときは迷子になったっけ。



好青年は私の後ろを一定の距離を保ちながら着いてくる。



トイレの表示が見えたところで、私は立ち止まる。



「ここですよ?」



「ありがとうございます」



そう言ってまたペコリと頭を下げる好青年。



宙もこんな人ならいいのにな。



そんなことを考えながら、私も一緒になって頭を下げる。