隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。



宙は私の言われた通りに少し離れたみたいだけど、さほど私たちの間の距離は変わっていなかった。



なんでよ。



いつもなら自分から離れていくくせに。



意味がわからない。



すみれの昨日の一言で、宙を自分の心のどこかで意識してしまっているのも意味がわからない。



「暇だな」



「…そうだね」



ドキドキという変な気持ちに押し潰されそうな私とは裏腹に、何でもないというふうに話している宙。



なんかムカつく。



宙だけ何でもないだなんて。



「ショッピングモールにでも行くか?」



「え?」



宙からお誘いだなんて…



悩まされたドキドキなんかより驚きが強くなり、思わずパッと宙を見た。