「はーい、席につけー」
HRの時間になり、先生が教室に入ってくる。
それを合図にみんながバタバタと席に着く。
「また後でね、茉奈ちゃん」
「うん!」
そう言ってすみれは、たっくんと一緒に自分の席へと戻っていった。
今日も長い先生の話。
学校祭が近づいているせいか、連絡事項が多いらしい。
暇だなあ……
先生の話を聞いてもただただ眠くなるし。
隣の宙は、先生の目も気にせず机に伏せて寝ている。
「おーい、聞いてるのかラブラブカップル」
先生の呼ぶ〝ラブラブカップル〟が私と宙のことだと気づいたのは、はっきりと名前を呼ばれた3回目。
「お前らのことだ、緒方、碓氷」
「……はい」
大声で名前を呼ばれ、やっと目が覚めたのかゆっくりと顔を上げる宙。
「そんな呼ばれ方じゃ気づくわけないじゃないですか。そもそも私たち…」
カップルじゃないと口にする前に、グッととどまる。
あぁ……
一応付き合ってるんだ。
言ったところで、何を言ってるんだとからかわれるだけ。



