私と宙の間は10cm。
宙は私と触れない程度に近づいた。
こ、これならまだ我慢が……
と思った私は甘かった。
クラスメイトが「きゃあ」と囁く中、ひとり私たちに無茶を言う。
「碓氷くん、それじゃあキスに見えないよ。もっと近づいて!」
リ、リーダー!?
なんてことを!
驚いた私は思わず目を見開いた。
バチッと同じく目を見開いた宙と目が合う。
近いよ…!
薄目で見ていた距離よりも近く感じる宙。
これ以上近く?
そんなの無理だよ。
きっと思ってることは宙も同じ。
リーダーの命令は聞こえているはずなのに、宙は全く動こうとしない。



